呆れたように深い溜息を付き私に視線を向ける執事。
真っ直ぐ見つめるその瞳は、嘘を吐いているようには見えない。



「約束します。もう二度と、あなた方を狙うことはありません」



嘘じゃないんだ。
もうこれで、侑李が狙われることは無い。
そう思えた瞬間張り詰めていた気が抜け、その場に崩れるように座り込んだ。



「っ、おい。大丈夫か蒼井」



侑李は、少し焦った声を出し振り向く。
あぁ、最初に比べて本当に感情豊かになってきたなぁ。
最初の頃は笑うことはおろか、自分の気持ちを表に表さない人だったのに。



「大丈夫。ちょっと腰が抜けただけ」



笑って見せたけれど、今頃になって怖くて手足が震えてくる。
しかも傷ついた手も頭も足も、ジンジンと痛みを増している気がした。



「不細工な顔で笑ってんじゃねーよ」