彼の左手にある白銀のものは――。
「それ、侑李の髪……?」
間違いない。
侑李を見上げれば、左側の髪が短く切り取られていた。
「それで、いいのか?」
二人して信じられないといった様子で、執事を見つめる。
「ま、最初は指とか瞳とか貰おうって思ってたんだけどね。気が変わった」
一瞬私の方を見た気がしたけど……気のせい、だよね。
彼は飄々とした笑みを浮かべ、手にした白銀の髪を丁寧に紙に包んでいく。
「それに日本で人の体の一部を切り刻むなんてことしたら、警察が騒いで後々大変だしね。僕、面倒くさいのは嫌なんだよね」
人を拉致して脅迫まがいなことをしておいて、よく言うよ。
しかも、あの頬に傷がある男は以前も侑李を狙って来ていたし、今回は銃で殺そうとしてたじゃない。
私たちが訴えれば確実にあんた達、刑務所行きだわ。
「それで、あなたの主人は納得してくれるの?」