惰性の力は私の体を運び、ライフル男めがけて飛び掛かる。
慌てて私を焦点に合わそうと銃を構えるけれど、既に遅し。



「う、わぁっ」



間に合わないと感じた男は間抜けな声発し後ずさりするけれど、それを許すわけが無い。

まるで韓国のカンフー映画のように、男の顔に私の足がクリーンヒット。
それと同時に男が後ろへ弾け飛んでいく。

足に確かな手ごたえを感じ、それまでスローモーションのよう感じていた一瞬が解けると、目の前には地面が迫って来ていた。

声を出す間もなく地面に叩きつけられ、なんとか受け身を取れたものの、二階から落ちてきた勢いはそう簡単に収まらない。

体を丸め頭を庇っていても、辺りの木材や一斗缶が容赦なくぶつかってくる。

衝撃と痛みに耐え、最終的には壁際に高く積み上げられていた、段ボールの山に埋もれる形で、ようやく止まった。