――真幸――。
包帯から、彼の不器用な優しさが感じられる気がして、思わず撫でるように触れる。



「……く……が、わか……」



感慨深く手首を見詰めていると、下の方からエンジン音に紛れて話し声が聞こえてきた。

誰?何をしているの?
私は腰を低くしながら窓辺に近づき、気付かれないようにそっと下の様子を覗きみた。

ヘッドライトを付けたまま、斜めに止まった車から降りてきた一人の男。
逆光になっていて、その男の姿はハッキリとは見えないけれど、手前にその男を警戒しながら取り囲む五~六人の人の影が見える。

いや……殺意だだ漏れの気配を探れば十人以上だ。

息を潜め、冷静に状況を把握していく。

さっきの破壊音は、車が後方にある工場のシャッターを突き破り急ブレーキを掛けた音だったのか。
高級車っぽいけど結構派手な真似をしたな。

でも、あの車何処かで見たことがある気がするけど……何処でだろう。