「もう少し、体力付けた方がいいと言っただけよ」

「お前に言われなくても、分かってる」



不機嫌そうにふいっと顔を背け、口を尖らすその仕草に不覚にも、その少し拗ねた感じの今の言い方がカワイイと思ってしまった。

時折り見せる表情が、私の心臓を跳ねさせる。

もう認めてしまおうか……この人に“恋”してるってことを――。
でも認めてしまえば、今の関係が崩れてしまうかもしれない。

自分の気持ちに嘘をつきたくないと言う思いと、侑李の関係が終わってしまうかもしれないという不安がせめぎ合う。

不思議――。
真幸と別れた時には、もう恋なんて二度とするもんかって思っていたのに今はこの人に惹かれている。

無表情、オレ様、自己中で意地っ張り。
良いところなんて、ひとつも見当たらないのに甘いものが大好きで、仕事に対してストイック。
不意に見せる笑顔が堪らなく愛しい。



「今、笑っただろう?俺をバカにしてるのか?」

「別に、笑ってない」



こんな些細な言い合いも、侑李とだと楽しい。