「だいたい、こんなバカ高校に真面目なやつがいるわけないだろ。」


紗倉くんが、そっぽを向いたまま言い放った。



たしかに仰る通りだけど…


紗倉くんだってバカ高校の生徒じゃん!



やっぱ、王子様なんかじゃない。


全然笑わないし、冷たいし、おまけに意地悪!



ガラッー


先生が入ってきた。


「はい、静かに。
これから入学式のため、体育館に移動します。」




「では、次は代表生徒による挨拶です。」


入学式も中盤にさしかかっていた。


代表生徒による挨拶は、主席合格者がするらしい。


きっと、いつきがするんだろうなー…







「代表生徒、紗倉裕。」



え…?


紗倉って、あの、紗倉くん…??


「はい。」


隣にいる紗倉くんは、けだるそうに答えて、壇上へと向かった。


紗倉くんがいた隙間から、特進科の人たちが見えた。




その瞬間、歪んだ表情のいつきと、目が合った。