「っ…!!」


風で前が見えない。


足がもつれ


からだが宙へと投げ出された。


「純恋!!!」


いつきの叫ぶ声が一瞬で遠くなった。



すごいスピードでからだが落ちていく。



死ぬ…!!!










ぽすんっ…






あれ?


痛くない。


死んでない。


周りからは、歓声が上がっている。



「重いんだけど。」


透き通った声が耳に刺さった。




上を見上げると、


そこには、王子様がいた。



切れ長の瞳、薄い唇、透き通った白い肌、サラサラの黒髪ストレート。





確信した、



私の、王子様だーー…



「きいてる?」


彼の言葉に、ハッと我に返った。


よく見ると、私は彼にお姫様抱っこをされていた。


「ごっ、ごめんなさい。」


彼は私をおろし、すたすたと階段をあがっていった。


「あ、ありがとう!」


「おっちょこちょい。」


皮肉気味でそう言われた。


私は、校舎に消えていく彼の姿を


ずっと、見つめていた。