「ただの友達じゃないだろ。」
その時、浅倉くんがそう言った。
やっぱり。
じゃあ何なの?
「今は友達だけど、“ただの”友達じゃない。」
“今は”?
今はってことは、昔に何かあったんだね。
私でも、さすがにわかる。
胸がきゅうっと締め付けられた。
「・・・まぁな。」
少しだけ苦しそうな声────。
「晴人は、あいつと昔に苦い思い出があったんだ。」
“あいつ”って、あの女の子のことかな。
「・・・もう吹っ切れたけどな!完全に!」
桜木くんはぎこちない笑顔でそう言った。
完全にじゃないでしょ?
少し辛そう。
「なぁ晴人。菅野と森中に話したら?」
浅倉くんが桜木くんに話しかけた。
「あぁ。話すよ────」
重い空気が漂う中。
桜木くんは、ゆっくりと話し始めた────。