「じゃあまたね!」


そう言って私が美術室に戻ろうと桜木くんに背を向けた瞬間。


「待って菅野!!」


私に向かって桜木くんが大きな声を出した。


私は桜木くんの方に振り向く。


「俺、今度新しいのが完成したらまた菅野の絵が見たい!」


そう言って桜木くんは、はにかむように笑った。


・・・新しいのって、今描いている2つの絵だよね?


桜木くんは、言葉を続けた。


「・・・俺、菅野の絵を好きになったっぽいからさ・・・」


その瞬間、私は息をするのを忘れたような感覚に陥った。