しばらく空を見上げていると、後ろの方から足音がした。


誰?


ここ、立入禁止だよ?


もしかして、ハル?


・・・なわけないか。


毎日ココに来ていても、なかなか会えなかったんだから。


私はゆっくりと振り返った。


・・・・・え?


────ドクンッ。


その途端、私の心臓が大きく音を立てる。


この髪・・・この目・・・この雰囲気・・・。


そして────


「夏美」


この声。


私は、8年前のあの日から、初めて涙を流した。


ゆっくりと私の方に近づいてくる。


「夏美。ただいま」



────ハル。



愛しいハル・・・。


やっと・・・やっと帰ってきた。


「・・・は、る。おかえり・・・!」


久々に見たハルは、数段に大人っぽくなっていて・・・すごくかっこよかった。


遅いよ・・・遅いよハル。


ハルは、私の目の前に立った。


「迎えに来たよ」


その優しい声でそう言うんだ。


心に開いた穴が、がゆっくりと埋まっていく。








「俺と、結婚してください」




「はい・・・・・─────」