しばらくジッと夕日を見ていると、夕日に重なるように“あるもの”が目に入った。


その“あるもの”は、大きな夕日の周りを囲うような、真ん丸で、穴があいている。


・・・銀色。


キラキラ光る・・・それは。


「・・・は、る・・・っ」


私は涙を流した。


感動・・・嬉しさ・・・それから愛、を感じて。


“あるもの”


それは、内側に文字が書かれた、キラキラ光る指輪だった。


「夏美。大人になったら、必ず迎えに行く。だからさ、それまで待ってて。」


夕日のせいで、オレンジ色に染まるハルが、そう言って微笑んだ。


・・・ハル。


どうしてこんなに私を泣かせるの?


「ハル・・・っ。私、待ってるよ。ずっと・・・ずっとずっと待ってる・・・っ!何年経っても、何十年経っても待ってるから・・・。絶対に、迎えに来てね。」


涙を流しながら、満面の笑みを浮かべる。


ハルなら、いつまでも待てる気がする。


たとえおばあちゃんになっても。


「ずっと、待ってろよ。」


私たちは強く抱きしめ合った。


・・・あなたの温もりに触れるのは、これが最後。


そんなわけない。


だって、絶対にハルは私を迎えに来てくれるから。


・・・信じてる。


私たちは、ジッと見つめ合い、唇を重ねた。


何度もなんとも角度を変えて。


この唇が愛しい。


私を抱きしめるこの腕が愛しい。


私を優しく包み込む、この温もりが愛しい。



私は指輪の裏に書いてあった文字を思い出した。








【True love】



それは、


真実の愛──────。