気が付けば、雨が少しずつ止んできていた。


どこからか、カエルの鳴き声も聞こえた。


「ハル・・・」


ただひたすらに抱き合っていた私たち。


私は、ハルの名前を呼んだ。


「ん?」


「いっぱい・・・いっぱい思い出作ろうね。」


決まったことは、しかたない。


だから、いつまでもウジウジしていないで、前向きに、


“今まで一緒にいられたことが奇跡”


そう考えよう。


「そうだな・・・。いっぱい、思い出作ろうな!」


ハルが笑った。


無邪気に・・・笑った。


その時にはもう、さっきの雨が嘘のように止んでいた。