「菅野さん!」


どこからか、私を呼ぶ綺麗な低い声が聞こえてきた。


この声・・・。


「永井くん!」


私は永井くんの姿を見て驚いた。


「永井くんって同じクラスだったんだ!」


「そうだよ!これからよろしくね。」


私がうんっとうなずくと、そこでチャイムが鳴った。


私たちは急いで席に戻る。


私の席は真ん中の列の一番後ろ。


確か隣が・・・木村くんと山本くん。


この学校は、男子列と女子列に分かれていて、女の子の隣は絶対に男の子っていう決まりがあるんだ。


・・・ハルの隣も女の子。


しかも美人さん。


名前は神谷友梨恵(かみやゆりえ)さん。


授業中はいつもハルにくっついている。


だから多分・・・ハルのこと狙っているんだろうな。


そう思うと、チクッと胸が痛んだ。


あんなかわいい子に狙われて、嬉しくない男の子がいるはずが無い。