────ガラガラ
美術室に入ると、そこには1年の後輩2人がいた。
東修二(あずましゅうじ)くんと、加藤梨恵(かとうりえ)ちゃん。
2人とも私によく話しかけてくれて、すごくかわいい後輩だ。
「夏美先輩!」
すこ高めの女の子らしい声が聞こえた。
梨恵ちゃんが、準備をしている私を呼んだのだ。
梨恵ちゃんは、走って私に近付いてくる。
「どうしたの?」
「えっと、2年の山口さんっていう人が夏美先輩に、すぐに体育倉庫前に来てほしいって言ってましたよ!」
山口・・・?
「ありがとう」
私は、梨恵ちゃんにお礼を言ったあと、考えた。
山口って誰だろう。
2年に“山口”なんていたっけ?
考えても考えてもわからない。