全てを話し終えた桜木くん。


「あははっ。でももう完全に吹っ切れてるよ。」


そう言った桜木くんは、清々しい表情をしていた。


良かった。


根に持ってなさそう・・・。


なんだかさっきよりこの場の空気が軽くなった気がする。


すると桜木くんが思いも寄らないことを言った。


「それに、俺今好きな人いるし」


桜木くんが照れた表情を浮かべる。


みんながワイワイ騒ぎ出す。


そんな中、私はひとり、目を見開いて驚いていた。


てっきり私は、桜木くんに好きな人なんていないと思っていた。


桜木くんの、私やみっちゃん以外の女の子と話す姿は全然見なかったから。


だから、余裕も感じてた・・・。


なのに、好きな人いたんだ────。


諦めたくなかったんだけどなぁ。


私は涙が溢れそうになった。


だから私は、


「ごめん。ちょっと私トイレに行ってくるね」


そう言ってこの場から逃げた。


桜木くんから・・・逃げたんだ。