そして、ようやく落ち着きを取り戻したのか、麻美が口を開いた。
「ごめんね。」
その言葉に、俺はホッとした。
麻美はやっぱり俺を選んでくれた。
昨日見たあの光景は見間違ってたんだ。
良かった。
だけどそんな思いも束の間で。
「────晴人。」
麻美は悲しそうな目で、俺を見た。
・・・俺にごめんって言ったのか?
「ごめん、晴人。私、翔のことが好きなの。翔と付き合うから別れてください。」
俺は悲しいというより、ショックの方が大きかった。
親友と彼女に同時に裏切られたショック。
真っ直ぐに俺を見つめる翔と麻美。
2人は、俺がいない方が幸せなんだよな。
そう思った瞬間、俺の心が泣き始めた気がした。
だけど俺は、2人の幸せを思い、こう言った。
「いいよ。俺ももう麻美のこと好きじゃないし」
想いを殺して────