「お姉さんは白くて、きっと似合うから。」

急に笑いを止め、その人はまた煙草に火をつける。
さすがにドキッとする。
とはいえすぐに頂戴できず、
所在なく店内をキョロキョロしていた。

「就活?」

煙を吐き出しながら、その人が訪ねてくる。
はい、と頷く。
不思議とこの人から聞く「就活」という言葉は、
私が必死に探す働き口を、くだらないと一蹴するようだった。
だから、頷いたあと何故か、「つまらないですけどね」と、
目をそらしてしまった。

「つまらないかもしれないけど、
でも楽しんでほしいね。」

そう言われて、私はまたドキッとする。
何だ、そんなふうに真っ直ぐ、
応援してくれる人なんだ。

「ここで働くためなら、
楽しく就活できるかもしれないです。」

私は靴を履きながら、思わずそんな調子の良いことを口走った。
恥ずかしくなって、顔が上げられない。
履けたにもかかわらず、グズグズと爪先を弄る。
その足元に、またその人は、座り込んできた。

「そう?じゃあ、働く?」

私のくるぶしに触れる指があまりに綺麗で、
私は、「あ、はい。」と2つ返事をしていた。