杉浦聡(スギウラソウ)。
私の好きな人。
杉浦さんは近所のカフェでアルバイトをしている大学生。
女子高校生の私からしたら少し年上。
気配りが上手で優しい人なんだろうなって思ってたら…いつの間にか好きになってた。
最初は話しかけることなんて全く出来なかったけど、常連になったら杉浦さんの方から話しかけてくれるようになった。
「杉浦聡」っていう彼の名前も杉浦さん自身から教えてもらった。
「あれが噂の杉浦聡さん?」
他の席でオーダーを取ってる杉浦さんを横目に見て言う亜美ちゃん。
友達に好きな人ができたと報告したら、みんなで見に行こうということになって今に至る。
180cmほどの身長に
サラサラの黒髪
目元はキリッとしていて
メガネをかけている。
一言で言うとイケメン。
真面目そうでクールな雰囲気をまとった彼が注文をとるときには笑顔になる。
その笑顔がたまらなく好き。
「へ〜なかなかイケメンじゃん。結衣には勿体なくね?」
幸希の減らず口。
「ひど!!そんなこと言わないでよばか!」
幸希とは幼稚園のころから一緒。
ちょっとした暴言はお互いの愛嬌の1つ。
「幸希くんは彼女持ちだから調子に乗ってるだけだって!!元気だして!結衣!!」
亜美ちゃんの優しいフォローがすかさず入る。
「別に俺調子乗ってねえよ」
なんて幸希は言ってる。
だけど最近の幸希はみていて痛々しいほど幸せオーラが出まくり。
幼なじみが幸せなら私も嬉しいからいいけどね。
「ご注文はお決まりですか?」
杉浦さんの声がして上を向く。
杉浦さんは注文をとる時に目を合わせてくれる。
私に向かって素敵なスマイルをくれる。
今日もとびっきりの笑顔をいただきました。
「ホットケーキ2つとドリンクバー3つお願いします。」
幸希に私と亜美ちゃんの分も一緒に注文してもらった。
「かしこまりました。」
杉浦さんらしい優しい声が耳に届く。
そう言いながらお辞儀をした後、私の肩を優しくつつき、
私の耳元まで顔を寄せて言った。
「このあと時間ある?話したいことあるから向かいのコンビニで待ってて欲しいんだけど。」
「………!?」
びっくりして声がでそうになる。
というか抑えめではあったものの、声を出してしまった。
内緒話をしている体制だからか声を出したらいけないんじゃないかと無意識に思った。
亜美ちゃんと幸希には聞こえるか聞こえない程度の声で話す杉浦さん。
「はい。空いてます!!待ってます!!」
そう伝えるために首を上下に大きく降って頷く素振りを見せる。
親密と言うにはほど遠い杉浦さんから誘ってもらえて嬉しかった。
「じゃあ7時に休憩入るから待ってて」
再び内緒話。
耳に近いところで杉浦さんの声がしてとても不思議な感覚。
息遣いまで分かってしまいそうで変にドキドキした…。
「なに今の!?どういうこと!?何話してたの!?」
杉浦さんがオーダーの確認を済ませキッチンの方へ去っていった後、亜美ちゃんが身を乗り出して勢いよく尋ねてきた。
「えへへ〜秘密〜〜」
なんだかこのことを早々に言ってしまうのは惜しい気がして秘密にしてみる。
「気持ちわりい結衣だな」
なんて言われたから
「うっさいノロケ野郎!」
と思わず言い返してしまったのは言うまでもない。