その後ママは私の答えを聞くなり、
待ってましたと言わんばかりの速さで
コウさんと再婚した。


相当私のことを気にしてたみたいだけど
私は家族が増える事が嬉しくてしょうがない。

そりゃ、不安が無いと言えば嘘になる。
私のことは必要無くなったと捨てられてしまうかもしれない。

だけど、私は知ることのできなかった"家族"の温かみを
どうしても、知ってみたかったんだ。



そしてとんとん拍子に話は進み、
ママと私はコウさんが住んでいる立派なお家で一緒に暮らすことになった。

勿論、学校も転校することになったけど、
元々友達はいないので、そこは全く問題無し。



ママと私は、数週間前から準備していた荷物を
新しい我が家へと運び終え、ママは疲れて即行ソファで寝始めてしまった。

その間に、私はコウさんに部屋の案内をしてもらっている所だ。



それにしても


爽やかな光が入る大きな窓、無駄にツルツルとした階段に、豪華な絨毯。


見たこともない置物が沢山ある。



チラッと前を歩くコウさんを見てみると、肩程に伸びた赤茶髪がサラサラと靡いている。


綺麗な髪の毛だなぁ…。


ママがこんな長身イケメンと再婚するなんて、夢にも見ていなかった。
ママの幸せを思うと、なんだか嬉しくなってくる。


「ふふっ」


思わず口に出ていた笑い声。


コウさんはクルリと後ろを向いて、不思議そうな顔で


「どうしたの?」


と尋ねてきた。


なんでもないですと答えれば、クスッと笑って歩みを止めた。