次の日 あの子と会ってから
初めての雨だった。

かなり土砂降りだったけど
海を見たくなって傘をさして
海へ向かった。

濡れた石の階段に
傘もささず座る人影があった

やっぱりその子だった。
傘の中にその子を入れると
不思議そうな顔をして



「雨 ですよ
海見たって何も無いですよ」



と俺に言った

俺は濡れた階段に座り



『君もね』



するとその子は首を振った



「あなたは
海が染まるのを見に来てる
私は 海しかないもの
これしか 居場所がない」



そう言い 傘を押しのけて

海に向かって走った



『危ない!』



手を引っ張ろうとしたけど
遅かった。



バシャン という音をたて

その子は海へ飛び込んだ



「私はここに来るべきなの」



俺にはその子が何を言ってるのか

全くわからない



『君の居場所?』



「そう 私に与えられた場所」



初めて見る笑顔。

風邪をひくから海から引っ張り出し

俺の家へ向かった