その人の名前を初めて聞いたのは
6月のキャンプの時だった。

いつもクラスで浮いていた私に
色々と話をしてくれた。

そこであの人の名前が出てきた。

恥ずかしそうに話す姿を
少し羨ましく見ていた。


だけどその後

私は先生と揉めた。

すぐ後に先生は自殺をした


私のせいなのはわかっている



ハッと目が覚める

すぐ目の前にはあの人がいた



『大丈夫?うなされてたけど』



心配してくれてるみたい。

そっか 昨日結局泊めてもらったんだ



「大丈夫、
泊めてくれてありがとう」



あの人はニッコリ笑って
コーヒーを差し出した



『雨 やんだね』



コーヒーを飲みながら頷いた



あの事をこの人に言うつもりは無い

だから言ってしまわぬうちに
この人から離れないと。



珈琲を飲み干し
干していた服を手に取る



「一晩ありがとう。
帰るね」



ドアを開け出て行こうとする
私の腕をギュッと掴んだ



『もう少し 話そう』



寂しそうな目をして見つめるけど

私は首を振った



「心配されるから」



『日比谷菫 亞北中学2年3組』



突然私のクラスを言ってくる



『浜田先生を…知ってるよな』



浜田先生 それは私の担任だった

頷くと はぁ という
ため息が聞こえた



『不登校だから
気づかなかった。
会えて…良かった』



ギュッと手を握られた

痛かったけど何も言わず
ただただ耐えた