両肩にポンと手を乗せられて、親友である岩尾依子(いわおよりこ)ちゃんに反対に真剣な顔で諭されてしまった。


依ちゃん何を言ってるのかな?


さっきのは夢でも幻でもないのに。


「違うのっ。夢でも幻でもなくて現実にいたの、王子様」


依ちゃんに真剣に言ってみても、次は溜め息をつかれてしまった。


「わかった。優愛、暑さで頭がやられたんだよ。

さ、保健室に行きましょう」


「依ちゃん本当にいたのっ!」


そのあと必死に身振り手振りで説明をして、何とか依ちゃんにわかってもらえた。


「何となく優愛が言ってることはわかった。

それでだけど、たぶんその王子様とかいう人は同い年だと思う」


顎に手を添えて考えを巡らす依ちゃんの瞳が私のところへと戻ってきた。


同い年? あのかっこいい人が?


「でも珍しいね? 人見知りの優愛がそんなに初対面の男子に接近できたなんて。

いつもは声かけられるだけでも緊張してすぐあたしの後ろに隠れちゃうのに」


「王子様は寝てたから。だから、恐るおそるだけど近付けた」