少しだけなら触ってみても、いいよね?


子猫ちゃんが怖がらないように、少しずつ少しずつ手を伸ばす。


どうか逃げませんように……。


そう心の中で願いながら、大人しくしている子猫ちゃんにあと1ミリで届くという時だった。


「……あつ……っ」


小声で何かを言いながら寝ていた彼が座っていた子猫ちゃんの方へと寝返りをうってきた。


それにビックリしたのか、子猫ちゃんは小さな足を動かしてどこかに逃げてしまった。


「あ――っ!」


自分の近くで人が寝ていることも忘れて大きな声を出しながら、子猫ちゃんがいなくなった方へと身を乗り出して手を伸ばした。


そんなぁ……。


せっかく仲良くなれそうだったのに……。


がっくりとうな垂れて肩を落とす。


すると――。


「……っ!?」


寝ていた綺麗な彼が私のことを真下から見上げていた。