すると春野君は私から少し離れていく。
5歩くらい後ろに下がると
「これくらいなら怖くない?」
え、ちょっと離れすぎじゃ……。
そう思うくらい私との距離は離れている。
私が人見知りだから気を遣ってくれてる。
「あの……」
こんな時でも私は普段喋るよりずっと小さな声しか出てこない。
もっとちゃんと春野君と話してみたいのに。
「ねぇ、もうちょっと近付いても大丈夫?」
自分の性格をどうにかしたいと思っていると春野君がまた話かけてくれた。
こんなふうに聞いてくれる人初めて。
大体の人は話かけてくれるけど変わった子だって思われて、疎遠になっていくか私が人見知りだって気付かずに話しかけてくるかのどちらかが多い。
だから何だか凄く嬉しくて反射的に頷いていた。