「だから今知り合ったんだから知り合いだよ。
ね、えーと……名前」
須藤君に私のことを知り合いだと言ってくれたけど、何だか不思議な人だな。
春野君をボーッと眺めていると、隣にいた依ちゃんに肩をトントンと叩かれる。
「優愛、あんたの名前教えてほしいって」
依ちゃんはあっちと指を指す。
また目がバッチリ合った春野君は少し困った顔をしていた。
「あ! えっと……私は……」
慌てて自分の名前を言おうとするけど、焦る気持ちとは反対に声は段々と小さくなっていく。
ちゃんと言わなきゃ変な人って思われちゃう。
だけど人見知りが邪魔をして、上手く話すことができない。
「朝陽そんな見たら優愛ちゃんが緊張しちゃうよ」
「あ、そっか。ごめん」
私のことを知らない春野君は不思議そうに見ている。
「ごめんね、この子人見知りなの。
だから話せるようになるまでちょっと時間がかかるのよ。
でも、すっごくいい子だから仲良くしてあげてね」
須藤君と依ちゃんはやっぱり頼りになるよ。
ふたりの優しさに感動していると、春野君は納得したように首を小さく縦に振る。