「………聞けよ」
「………………っ」
唯君の静かな声
…逃げられないって、
思った
唯君はあたしの腕を掴んだまま、ベットの横の椅子に腰掛けた
そして、あたしを真っ直ぐに見つめながら、ゆっくりと口を開いた
「…“佐々木君”って、何?」
……………………は?
あたしの予想をはるかに上回る唯君の質問
てっきりまたウザイって言われるかと思ってたのに…
っていうか“佐々木君”
って…
拍子抜けしながらも、あたしはオズオズと答えた
「…あなたの名前」
「んなこと聞いてんじゃねーよっ!!!!」
「ひっ…………」
いきなり叫んだ唯君に、思わず視界が歪む
「…………わり」
それを見た唯君は申し訳なさそうにあたしに謝って
掴んでいた腕を離して
あたしの手を優しく握った