ん...んー!よく寝た〜。
なんだか今日はいつもよりグッスリと眠れた気がするよ。なんだかいつもより布団がふかふかでー、いつもより枕が大きくてー、天井にはシャンデリアー、
......
シャ、シャンデリアァァーーっっ!?!
ま、まて、落ち着けっ!
ここはどこだぁー?
自分の家ではない事はわかる。
じゃーいったいどこなのだろう。
おい!私はもしかして拉致られたのか!?
パニックにおちいってしまった。
確か私は草むらで眠ったのだ。
もしかしてこれはまだ夢なのかもしれない。妙にリアル過ぎる夢なのだ。
ほっぺたをかるくつねってみた。
いたい。
つまり夢じゃない。
いや、痛みを感じる夢なのかもしれない。
そんな突拍子もない事を思い始めた時、

ガチャリッ

ドアの開く音がした。
えっ!?だれっ?
急いで布団の中に潜ると、息をひそめながら、入ってきた人の顔を布団の隙間から見てみた。
中年男性?スーツをビシッと着こなしているな〜。執事って感じかな。ちょっとカッコイイかも〜!
なーんてのんきに考えてる場合かっ!!

「まだ起きておられないのですか?」
ヒィッ!声をかけられてしまった。
よし、無視しよう。むしむし!
私は寝たふりを決め込んだ。
...。
「起きてらっしゃらないのですね。相当お疲れだったのでしょうか。また後で伺います。」
...。
お、おー?
なんて礼儀の正しい人なんだ!あんな人見たことないぞー!
あんな人が私を拉致などするのだろうか。
いや!絶対しない!ハズ...。
じゃあ、なんだろう。
あっ!もしかして!!
私は助けてもらったとか!?
草むらで寝ていた私を見つけた男の人は、
「あらっ!なんて可哀想な少女なのでしょう!私のお屋敷に連れて行ってあげましょうぞ!」
なーんて言って、私をここまで連れてきてくれました。とかー??
キャー!やっさしい!
―――
んなことあるかっっ!
流石にそんな優しい人なんていないから!
だいたい草むらなんかで寝てるような少女なんて誰も触りたくないだろっ!
あっやばい。自分で言ってむなしくなった...。
心の中でひたすらもんもんと考えてしまった。考えるよりもっと手っ取り早い解決方法がある。聞いてみればいいのだ。

「あ、あのー?」
思ったより声が出なかった。少しかすれた声が部屋の中にさびしく響いた。
ガチャッ
「はい、なんでしょうか。」
ドアが開いてさっきの執事さんらしき人が現れた。超高速できてくれた。どういう足をしているのだろう。部屋の前にいたのだろうか。それなら納得がいく。
来てくれたので喋らないわけにもいかず、
「えーっと、ここはどこなんですか?なんで私はここにいるんですか?」
一番重要だと思うことをまず聞いた。これは知っておかなければいけないと思う。
「ここは王族の皆様方がお住みになられるお城でございます。」
え、お城?うそでしょ?
「あなた様は王子であるアル様に庭で寝ているところを発見され、起こそうとしたのですがなかなか起きなかったので、そのまま寝せておくわけにもいかず、ここにつれてきたのです。」
じゃあ、さっきの私の推理はほとんどあってたということか。自分に感心した。
でも王子様とか信じられない。
頭が混乱してきた。
私は本の中に迷い込んで、眠ったら、この国の王子様にお城に連れてこられたってこと?いろいろすごいことが続けておきるから、頭がついていかなくなってしまった。
「私はこれから一体どうすれば...。」
声に出すつもりはなかった言葉が切なく口から溢れた。
「それは私にも分かりません。」
申し訳なさそうな声が聞こえた。
そりゃ、わかんないに決まっているのだ。執事さんらしき人が知るわけがない。それにまだ私のことを全く知らないはずなのだから。
「あの、あなたは誰なんですか?」
ずっと「執事さんらしき人」と呼ぶのも失礼なので聞いてみることにした。
「私は王子様にお使えしている執事でございます。名前はラウロと申します。」
ラウロとお呼びください。と付け足すと、少し頭を下げてニコッと微笑んだ。