「街に行こう」
さっきそう誘われた。
街か。そういえば行ったことがない。
この国の住民の生活にも少し興味があった。
「いいよ。」
と快く答えると、やつは
嬉しそうに顔をほころばせた。


そう、さっき、私は確か街に行こうと誘われたのだ。
目の前には、首元には大きな宝石のついたネックレスを、手首にはジャラジャラとたくさんのブレスレット、指にはしっかり指輪がはまっていて、胸元が大きくはだけたシャツに、黒のパンツ姿の、アルがいた。王子様とは思えないようなチャラさ。いつもとイメージが全く違った。
そして、今いるのは、
街は街なのだ。
でもここは、
ボイーンと自慢のでっかい胸を揺らしながら歩いてくる 女の人!
体のラインが目立つ露出の多い服を着た 女の人!
メイクが濃くて、服装も派手な 女の人!
極め付きが、露出の多い服を着た、メイクの濃い、女の格好をした 男の人!!
どこだよ、ここ!
こんなとこ来るなんて聞いてないぞ!
「あらぁ〜。アルじゃな〜い。さいきん〜、ぜ〜んぜんこないから〜、心配しちゃった〜。」
アルに甘い声ですり寄ってくる女の人。
「アルー!なんかおごってー。」
ねだりながら胸をアルに寄せ付ける女の人。
「あらまぁ!アルくーん!久しぶりじゃなーい!」
結構野太い声で話しかけてる女の格好した男の人。
ムー!なんだよみんなアルにベタベタしやがって!
もーむりだ。ギブギブ。
アルはよくこんなところに来ているのか。
なんて奴だ。見損なったぞ!
「おい、お前ら、あんまりくっつくな。今日は連れがいる。」
アルはそう言うと私を指さした。
「あらほんと!カワイコちゃんがいるじゃない!」
「えー、アルがぁ?めずらしいぃ〜。」
ちょっと!注目されちゃったじゃん!
「え、あ、あの。あなた達は一体、どちら様ですか?」
「...え?しらないの?」
知らなくて当然だろ!
「いや、何も聞いてなくて。」
「あー、そうなんだー。ここはねー、嫌な事があったら来たり、いろんな柵から抜けたくなったりした時、来るところなのよ。」
「え?」
「だから、個人の秘密は絶対に守る。アルがここに来ても誰もそれを漏らしたりはしないから安心なのよ。」
憩いの場となっているということか。
それにしてもこのボリュームはハンパない。目の前にある大きな胸と自分のをついつい見比べてしまう。