最近はアルの考えてることがイマイチわからなかった。あんなに優しかったのに、豹変したのだ。アルはなんと、ドSだった。私を言う事をきく犬だと思っているらしく、こき使ってばかりなのだ。
今も、
「おい、お前。どうした?手が止まってるぞ。」
人に肩もみをさせていた。
このやろお!人に肩もみさせといてなんだその言い方は!
「そんな肩こってないでしょ!」
毎日のんびり暮らしていれば肩なんてこるはずないじゃないか。
「お前、俺をなめてるな?俺は忙しい。街に出て仕事をするし、政治にも最近は関わっている。王子は肩がこるんだよ。」
そうなのか。仕事してたのか、こやつ。
忙しそうにしているところなど見たことがなかったのでわからなかった。
「それで、いつまでやればいいのよ、これ。かれこれ30分くらいやってるじゃない。忙しいんでしょ。チャッチャと仕事しちゃいなよ。」
「今日は休みだ。」
はー?なんだよ、もう!
「もう手が疲れた。やめていい?」
「お前はすぐ疲れるな。体力なさすぎだ。まあ、しょうがない。今日はもういいだろう。」
「あー!そういえばアル!」
「なんだ?」
「私のことをお前って呼ぶのやめてくれる?」
名前で呼ばれたのは少ししかない。
覚えている限りでは迷子になった時と、自己紹介をした時だけだ。それ以外はほとんど「お前」と呼ばれていた。
私は名前で読んでるのに!
まあ、流石に王子をお前呼ばわりは出来ないけど。
「お前をお前以外でどう呼べばいい?」
「そ、そりゃあ、名前、とか?」
アルの顔を見るといかにも不機嫌そうな顔をしていた。
「嫌だ。断固拒否する。」
即否定された。
ちょっと悲しいじゃないか。
もー!アルなんて知らない!