ここに来てから2日目。
いろいろあったし、まだ慣れないことばかりで困惑する日々。
そんな時、朗報が入った。
「ルリコ様が帰ってこられました!」
まだ若い使用人が叫ぶと、続けて、
「ルリコ!!」
奥の部屋から急いで出てきたオルトン王、
「「お母様!!」」
階段を駆け下りてきたハルとアル、
「ルリコ様ー!」
ほかの使用人たち、
いっせいにたくさんの人が、帰ってきたルリコさんに向かって声をかけた。
ルリコさんが帰ってきたのだ!
アルがジョアンナと結婚することを決めたとエドウィーナに伝えると、すぐにルリコさんは解放された。
私も急いで玄関に向かった。
そこにはもう50代近いはずなのに、肌が綺麗で若々しく、シワひとつない女の人がいた。
これがアルのお母さん。
アルが美形なのはこの人からの遺伝だとすぐにわかった。お母さんが美しすぎる。
「あら、あなたは?」
落ち着いた口調でルリコさんが私にたずねた。
「あ、えと、ここに住まわせてもらっています。まおと申します。」
「まおさん。いつからここに?」
「2日前くらいです。」
「そうなのね。後でまたゆっくり話しましょう。」
ゆったりと話すルリコさんはひとつひとつの行動が優雅で洗練されていた。
ルリコさんは私から離れ、オルトン王のところに行くと、2人で抱き合い、無事を確認し合っていた。こうして見ると2人はとてもお似合いだった。勇敢な顔つきのかっこいいオルトン王に、美しく優雅なルリコ様。これが1番理想的な夫婦だと思った。
ルリコさんは次に息子達のところに行くと、ハルとアルひとりひとりに声をかけていた。なんて言っているのかはここまで聞こえなかったけど、笑っているので、久しぶりの再開を喜んでいるのだろう。
ルリコさんが帰ってきて本当によかった。みんなが笑顔だ。ルリコさんはみんなに信頼されているのだ。そしてみんなルリコさんが大好きなのだ。それがこの場にいると伝わってきた。