動物たちをおっていくうちにずいぶんと奥まで入っていったらしい。それに日が沈んできてもともと薄暗かったのが、よりいっそう暗くなってきた。もうそろそろ戻らないとみんな心配するだろう。急いで戻ろうと、後ろを振り向くと、―――
木、木、その先も木、どっから来たのか全然分からなかった。絶望的だった。
「やばい、迷子かも...」
動物に夢中になり過ぎた。
急いでさっき来たと思われる道を戻ろうとしたけど、行けばいくほどもっと変なところに行きそうでついには動けなくなってしまった。少し湿った地面の上にに座り込んで、恐怖に震えた。
「うぅ。」
アルについてきてもらうんだった。
カサカサという動物の通る音にさえ怖くなって、涙で目が滲んだ。
「誰かー、助けてー」
嗚咽混じりに叫んでも、誰も反応してくれなかった。
「アルぅ。」
頭に浮かんだアルの名前を声に出してみた。

「おい、まお」
低く響く心地のよい声で名前を呼ばれた。
「えっ」
恐る恐る顔を上げるとアルが私の目の前に立っていた。
「世話やかせんなよ。」
アルは私を立たせると少し角張った手で私の涙を拭ってくれた。
「あ、アルぅ〜。怖かったよ〜。」
アルを見て安心するともっと涙が溢れてきた。
「もう泣くなって、ほら、帰ろ。」
アルは私の手をとるとギュッと繋いで、少し前を歩き始めた。
手からアルの体温が伝わってきた。
アルの手はあったかかった。

涙も止まり、落ち着いてきた。
「だから、迷子になるなって言っただろ。人の話聞いとけ。」
「ごめん...。なんで私の場所分かったの?」
「帰ってくんの遅いと思って、わざわざ探しに言ったんだよ。そしたら声が聞こえたんだ。」
探してくれたんだ。
「ありがとう。」
「もう迷惑かかせんなよ。」
「うん、わかった。」
「それとさ、ひとりで行かせて悪かった。俺もついていくべきだったよな。」
「ちがうよ。アルのせいじゃない。私が悪いだけだよ。」
アルに責任を感じさせてしまった。
ほんと、迷惑ばっかりかけてる。
「ごめんね。」
「いいって。
ほら、ついたぞ。」
パッと手が話されて、余熱が残った右手が寂しく風に吹かれた。
お城につくとラウロさんが駆け寄って来た。
「大丈夫ですか?ずいぶん遅かったじゃないですか。」
ラウロさんも心配してくれたんだ。
「大丈夫です。ご心配おかけしてすいませんでした。」
「ご飯は用意してありますよ。」
タイミングよくお腹がぐぅ〜と鳴った。
「すぐいきます。」
このやりとりを見てアルが横で笑っていた。