「あーそういえば。」
私が部屋でラウロさんが持ってきてくれた紅茶を飲んでいると、アルが話しかけてきた。
「なに?」
「お前住むとこ無いんじゃないのか?」
あっ!!そういえば!
アルの一件ですっかり自分のことをわすれていた。私は行き場がないのだ。
「どうしよう。行くとこないよ。」
アルは整った顔をしかめて、困ったような顔をすると、あっ!と言って立ち上がり、私に近づいてきた。
「お前はここに住めばいい。」
私の目の前に来てアルはそう言った。
ああ、アルは重度のお人好しなんだな。私はアルに惚れてしまいそうだった。
「いいの?そんな事までしてもらって。」
「もちろんだ。母が帰ってきたらその時話もしたいだろう?それに行き場のないやつを放り出すほど俺はひどいやつじゃないからな。」
そして、私の頭に手をやると、ワサワサと頭を撫でたのだ。
ドキッ!心臓がひときわ大きく鳴った。
純粋に嬉しかった。
アルはまおのことを知らせてくるのと、結婚の話をしにいくと言って部屋を出ていった。
その後も心臓のドキドキは収まらず、病気にかかってしまったのかと錯覚してしまいそうだった。