「ほんとにこの子ったら……人を疑う事知らないのよ……」
「…………」
そうなんだ………お父さんとお母さんも……私と一緒…………
そっと響くんの事、見守っていたんだね。
お母さんは、お財布から千円札を2枚取り出し、
「響、いい勉強したわね、お金はお母さんが返してあげるからね」
と響くんは、とんでもないセリフを返した!
「母さん、俺……返してなんかいらないよ、
あのおっちゃん、きっと何か事情があったんだよ。
返しに来れない大変な事情があったに違いないよ、
仕方ないから、もういい……」
と、限りなく優しい表情で、お母さんの出したお金を突き返した響くん……。
何で……何でよ?
お母さんがせっかく返してくれるって言ってんのに……受け取りなさいよ、響く~ん~……私の誕生日がかかってんのに………。
と思う反面………私は………そんな響くんが好き…………
と……涙が出てきた。
後ろにいたお父さんが、ニコッと微笑みながら言った。
「久しぶりに焼き肉でも食いに行くかっ♪」