「呼んだか…主人」

霧の中から現れたタナトス。

「彼と戦ってくれる?」

「承知した。」


タナトスはそう言うと、相手の魔獣(悪魔)サルワに視線を移した。


「へぇ、タナトスかぁ……
強そうだね。負けないように頑張ろうか」

桐谷はニヤリと笑う。その笑みはとても冷たいものだった。

彼は一体何を考えているのだろう。
とんでもない事を起こしそうでちょっと怖いや。


会場は静まり返る。
神級の魔獣が二体も現れ、互いに対峙しているのだ。驚くのも無理ないだろう。



これからどうしようかと、沈黙が流れる会場で、僕は一人考えを巡らせていた。


「(タナトス、今はとりあえず様子見ってことで)」

「(…承知した)」


策を一通り練り終えた僕は早速作戦を実行した。
まぁ作戦を練ろうが練るまいが僕の勝利は明白なんだけど。

でもほら、そっちの方が楽しいじゃん?

だからさ…
僕を楽しませてよ。

クスッと小さく笑った優雨の笑みに誰一人気づく者はいなかった。