と、まぁこんな感じで初めてこの魔法を使ったんだけど相手相当苦しそう。


「ぐッ!あぁぁぁぁぁっ、、あぁぁっ、」

会場に桐谷の断末魔が響く。


彼の余りにもがき苦しむ姿に、誰もが目を瞑りたくなった。

審判も流石に危ないと思ったのか止めに入ろうとした。だがその一歩手前、優雨は魔法の発動を解除した。


「インサルトイパチェスト・ダウン」


そう呟くと桐谷の身体から紫がかった黒の靄が浮かび上がった。そして靄は空気に溶けるように消えて無くなった。


「これでまだ続けられるね?」


ニヤリと口角を上げた優雨の顔は酷く歪んでいて狂っていた。



桐谷は目の前の男が怖くて恐くてしょうがなかった。

どれだけ魔法を打っても彼にあたる所か掠りもしない。

奴に勝てる方法は無いか……

ちっぽけな自分の頭をフル回転させ考える。


……………あった。
まだ奴に勝てる方法が!!!
可能性は低いかもしれない。でも、ゼロでは無いはず。

桐谷は小さな希望を抱えてその口を開いた。


その希望がすぐに絶望に変わる事も知らずに………。