「いないなぁ....ん?」
体育館までの廊下の途中で話し声が
聞こえたから柱の陰に隠れた。
「お願いします!」
「バスケをやらせて下さい!」
この声は黒瀬と叶斗だ。
頭を下げてるけど、どんな話?
「しかし、さっきも言ったように
佐野は右腕に障害があるのだろう?
それでバスケをやるには無理だろう。」
!?
叶斗の右腕に....障害?
そんなの聞いてない.....
中学の時私が聞いたのは事故で骨折した
からバスケをやめるってことだった。
それに、生活している中でも全然
普通だったし。
「確かに、僕は足手まといになると
思います。でも...もう一度やりたい
んです!」
その時の必死に頼む叶斗の表情は
すごく真剣で....
目つきはバスケをやってたときと同じ
鋭くなっていて....
「先生、叶斗にバスケをやらせて
あげて下さい!!」
私は柱から飛び出してそう言いだして
いた。