「うわぁ、ドキドキします。トオルさん、先行ってください。私は次に行きます」
とうとう先頭まで来た私たち。急に、少し怖くなった。
「お願いしますよぉ。ここに来て怖くなっちゃったんです」
そう言うと、トオルさんはきょとんとして、クスクスと笑い出した。
「なんだ、そんなことか」
「そんなことじゃないですよっ、一大事です」
「怖いなら一緒に乗ればいいじゃねえか」
少し、拍子抜けしてしまう。だって、まさかそんな言葉がくるとか思ってなかったから。
「ほら、行くぞ」
「へ?あ、え?」
ぽかんとしている私をよそに、トオルさんはどんどん行って 乗っている。
「わわっ、ちょっと待ってくださいっ……」
なんだかんだで追いかけてしまう、私も私か。