10:30、屋上にいく。
ケイタと出会ったあの日から、屋上にはいつもより早く来るようになった。
フェンスに寄りかかり、太陽の暖かさに目を閉じた。ケイタに会えるという楽しみに胸を躍らせながら____……。
「__ヵ、__カ、チカ!」
「ん……」
うっすらと目を開ける。ぼんやりしている視界。目の前に誰かがいるのはわかったが、それが誰かまではわからない。
「………だれ」
声が掠れた。まあ、寝起きだからしょうがないよね。
「俺だよ!イケメンケイシだよ」
「ケータ?」
「ちがう、ケイシ………や、ケイタだよ」
ハッと目が覚める。いつの間にか横になって寝ていたっぽい。急いで上半身を起こす。その時間僅か3秒、速いでしょ?
「ど、どうした?チカ」
「よだれ!よだれ垂れてない?白目で寝てなかった!?」
口に手をやり、確認する。よかった、垂れてなかった。そうしてる内に、クスクスと笑う声が聞こえてきた。