「ただいま処置中です。あちらでお待ちください。あちら、九条さんと一緒にいらっしゃった方です」


受付の人にそう言われて立ち上がり頭を下げると、両親は近づいてきた。


「朝陽は……」


母親が私にすがるような視線を送る。


「はい。ダンプにはねられ、出血が……。でも、呼吸はありました。その後のことは……わかりません」


途中で涙声になってしまったけれど、私に伝えられることは伝えなければ。


「でも、まだやりたいことがたくさんある。あきらめないって……言ってくれたんです」


ポロポロ涙があふれ出すと、母親も泣き出した。


「すみません。朝陽くん、私をかばおうとして……」


私があそこに立っていなければ……と思ってしまうのは、もう二度と誰も死なせたくないからだ。