「今度は、卵焼き作るからね。中はなにを入れよう。朝陽はチーズが好きだよね。私はね……」


ふたりで弁当を突っつきあった光景が頭をよぎって言葉が詰まる。


「私は……たらこにする。あとは唐揚げも作るね。ナスはどうしようかな……」


ねぇ、朝陽。
私たちにはまだ未来があるんだよ。


「朝陽。朝陽と虹を渡りたいよ……」


早紀とは渡れなかった虹を。


病院につくと、彼はすぐに処置室に連れていかれ、私は廊下の椅子で待つことになった。


「神様……」


やっぱりあの光と共に神様は下りてきたの? 
でも、連れていかせない。

お願い。朝陽に未来をください。


しばらくすると、バタバタと男の人と女の人が走り込んできた。


「九条です。朝陽は……」


救急受付で名乗ったその人たちは、朝陽の両親だった。