朝陽は激しい憎しみの感情を呑みこんで、未来にかけてくれた。


「つぐのおかげだよ」


朝陽はそう言うと、まだ少し雨の降っている空を見上げた。


「つぐが……晴れの日もあるって、教えてくれた」

「朝陽……」


そうだよ。雨はいつか止み、太陽が顔を出す。
また雨は降るかもしれないけれど、いつかは上がる。

そうしたら、虹だって見えるかもしれない。


「つぐを巻き込んでごめんな」


再び歩き出した朝陽は、前を向いたままボソリとつぶやく。


「ううん。私、朝陽に出会えて幸せ」


巻き込まれたなんて、ちっとも思っていない。

早紀を亡くして絶望しかなかった私も、彼のおかげで未来を見たいと思うようになった。
もちろん、明るい未来を、だ。