手紙はそこで終わっていた。


「イヤ……」


ポタポタと涙が便箋に零れ落ちる。


「イヤ……虹を一緒に渡るんじゃないの?」


彼はかつて虹は渡れると言った。
そしていつかやってくるその楽しみのために、今はちょっと悲しいだけとも。

まだ渡ってないよ……。


私は手紙を握りしめ走り出した。

朝陽のそばに行かなくちゃ。
朝陽と一緒に、いなくちゃ。


「死なせない。私が絶対に……」


階段を駆け下りたところで、神社の社を見上げる。

ここは毎日のように過ごした私たちの思い出の場所。
朝陽の二度目の命が授けられた大切な場所。

神様、私たちの様子を見ていたでしょう? 
朝陽の優しい姿を、見ていたでしょう?


お願い。私たちに未来をください。

私の命を朝陽に半分あげる。
だから……お願い。