金子さんたちには、きちんと反省してもらいたい。
早紀が弱かったからなんて、絶対に言えないように。

そうでなければターゲットを変え、また誰かを傷つける気がする。


「でもね、それが終わったら、もう前を向いて生きていく。早紀だって、私がいつまでも泣いていることを望んでないと思うの」


野上先生が『今を生きなさい』と言っていたことを思い出す。

毎日が新しい一歩。
過去の辛いことばかりに囚われていては、いつまでたっても笑えない。


朝陽は小さくうなずいた。
それなのに、曇った表情は変わることがない。


「彼女たちがしたことを許すつもりはないよ。でも、その怒りだけで自分の人生を台無しにするのはイヤ」


早紀のことはもちろん忘れない。
でも、憎しみや苦しみだけで満たされた人生を歩きたくない。