もしこの誕生日が最後の思い出だったら……と震える。
朝陽の目を真っ直ぐに見つめていると、彼は「あぁ」と小さくうなずいた。


「私……」


口を開いたもののなにを言ったらいいのかわからない。
でも、朝陽に会えなくなるなんて、考えられない。


「早紀のいじめを、外部に告発する」

「つぐ……」


朝陽は少し驚いたような顔をして、私の名を口にした。


「もしかしたらどこに持っていっても揉み消されるかもしれない。それでもやらなきゃって思ってる」


いち生徒の言うことなんて、取り合ってもらえないかもしれない。
でもこのままなかったことにはできない。


「このままだと、違う犠牲者が出ちゃう。だから、もう断ち切りたい」