「なによ、それ」


五人の顔に緊張が走った。


「なにかは言いません。でも、学校が取り合ってくれないなら、外部にこの問題を持ち出すつもりです」


これは私の宣戦布告。
早紀が生きているうちにすべきだった。


「外部って?」


金子さんの眉間にシワが寄る。


「新聞社とかテレビ局とか……」

「はぁっ?」


金子さんが私のジャケットに手を掛けた。


「どうして怒ってるんですか? なにもしてないんでしょ?」


彼女が怒っているのが証拠。
なにもしてないなら、動揺する必要はない。


「あのくらいで死んじゃうほうが悪いわよ」


こんなに腹が立ったことは初めてだ。

金子さんの勝手な言い分に唇を噛みしめる。
でもまだ今は冷静にと自分に言い聞かせる。