それでも私も少しずつ真っ直ぐに投げられるようになってきた。


「おっ、いいじゃん」


朝陽が思わず立ち上がったのは、最終の十フレーム目。

ゆっくりゆっくりスローモーションのように進む球が真ん中のピンにぶつかり、次々とピンが倒れていく。
そして、残ったあと一本がぐらぐらと揺れ出して……。


「いけっ」


彼は私の隣に来て叫ぶ。
すると……。


「やった!」

「初ストライクおめでとう!」


一度もスペアを取れなかった私が、最後の最後で大金星。
朝陽とハイタッチすると、自然と笑みがこぼれる。


「ボーリング、おもしろいかも」

「あはは、よく言うよ」


朝陽は大笑いしながらも、私の頭をポンと叩く。


「でも、こんなことあるんだな」


彼は感慨深げにそう言うけれど、私の方がびっくりだった。