それから私は、朝陽の苦しみをどうしたら和らげてあげられるのかばかり考えていた。

早紀を救えなかった私になにができるのかと思うと、絶望的な気持ちになる。
でも……。


「ねぇ、早紀。ホントに楽しかった? なにもしてあげられなかったのに、本当に……」


学校に向かう途中、あの神社の前を通りかかり、早紀に問いかけた。
野上先生はそう言ってくれたけど……本当にそうなのかな。


悶々とした気持ちを抱えながら、午後からの授業のために学校に向かった。


学校に到着したのは、丁度弁当の時間。
私が再びいじめの告発をしたことはもう噂になっていて、いつもより突き刺さる視線が痛い。

でも、そんなことはどうでもいい。
今は朝陽のことで頭がいっぱい。

私には時間がないの。
そんなことにいちいち悩んでいる暇はない。