総務部の社員は四人の女子で、うち二人は主に経理。
指導担当の先輩と新人の私は事務作業。
私の指導係の白坂理子先輩はなかなか厳しい。
「この書類、工場に届けてきて」
「はい。えっと……」
書類のファイルを見てみるが、三課あるうちのどこへ届ければいいのかわからない。
「どこの課に届ければいいですか?」
「工場っていったら部長でしょ!?一人しかいないじゃない」
「……すみません。いってきます」
そういう意味だったのか。
頭を下げて踏み出すと、白坂先輩の足に引っかかってしまった。
「きゃっ!?」
「本当、どんくさいわね」
「……すみません」
先輩が急に足を出すから……、とは口が裂けても言えないけれど。
オフィスを出る時に、総務部の先輩達の笑い声が聞こえた。
「パッとしない子よね」
「見てるとイライラするわぁ」
「すぐ辞めるんじゃない?」
「でも工場行かなくて済むから良いかも」
「あの部長ムダに話長いのよね」
はぁ、こんなはずじゃなかったんだけどな。
小さい頃、家庭の事情で祖父母の家に預けられていた私はいつも厄介者扱いされていて、オドオドと機嫌を伺うのが癖になってしまった。
そんなふうだから、人付き合いも上手くできずバカにされたりいじめられたり。
内気な自分を変えたくて思いきって上京したのに、緊張して上手く話せないし一ヶ月経っても友達もできずにいる。
分厚い眼鏡で顔を隠し、トボトボと工場へ向かった。
指導担当の先輩と新人の私は事務作業。
私の指導係の白坂理子先輩はなかなか厳しい。
「この書類、工場に届けてきて」
「はい。えっと……」
書類のファイルを見てみるが、三課あるうちのどこへ届ければいいのかわからない。
「どこの課に届ければいいですか?」
「工場っていったら部長でしょ!?一人しかいないじゃない」
「……すみません。いってきます」
そういう意味だったのか。
頭を下げて踏み出すと、白坂先輩の足に引っかかってしまった。
「きゃっ!?」
「本当、どんくさいわね」
「……すみません」
先輩が急に足を出すから……、とは口が裂けても言えないけれど。
オフィスを出る時に、総務部の先輩達の笑い声が聞こえた。
「パッとしない子よね」
「見てるとイライラするわぁ」
「すぐ辞めるんじゃない?」
「でも工場行かなくて済むから良いかも」
「あの部長ムダに話長いのよね」
はぁ、こんなはずじゃなかったんだけどな。
小さい頃、家庭の事情で祖父母の家に預けられていた私はいつも厄介者扱いされていて、オドオドと機嫌を伺うのが癖になってしまった。
そんなふうだから、人付き合いも上手くできずバカにされたりいじめられたり。
内気な自分を変えたくて思いきって上京したのに、緊張して上手く話せないし一ヶ月経っても友達もできずにいる。
分厚い眼鏡で顔を隠し、トボトボと工場へ向かった。