宮内部長は会議中に取引先から電話がきて一旦抜けていただけだったらしく、すぐに会議室へ戻っていく。

その背中に勇気をもらい、ぐっと拳に力を入れて私もオフィスへと戻った。

「白坂先輩!」
「なっ、なによ急に大声出して」
「あっ……、すみません。あの、在庫チェック終わりました。発注の仕方を教えてください!」

言われた仕事だけじゃなくて、自分からも積極的に頑張らなくちゃ。

白坂先輩はPCの画面に発注書を開き、説明を始める。
日付、商品ナンバー、項目などと続きこれが一番大切だと念を押された。

「数量の欄には、必要な数字を入力していくんだけど……」
「はい」
「商品によって一箱に入ってる数が違うから注意して」
「え?」
「一箱に五個入ってたり、十個入ってたりするの」
「なるほど。十個欲しいからって単純に10と書いては、大変なことになるんですね……」
「そう。入力ミスにも気をつけること」
「はい!」
「昼までに注文すれば明日には届くから、急いでね」
「わっ、わかりましたっ!」


まずこれは、一箱に二個……。
十個欲しいから、5と入力。

んーと、こっちは十六個か……。
つまり、在庫の具合だとプラス二十五個は欲しいから。
えーと……。

チェックしてきた用紙を見て、その商品の1単位での個数を確認、計算して入力。
凄く単純なことなのだけれど。

「ふぁ」

数字ばかり見てると眠くなってくる……。

って、ダメダメ!急がなきゃ!
頭をぶんぶん振って眠気を吹き飛ばす。
昨晩の寝不足がここで出るとは。
あくびを堪え、こんがらがってしまいそうな頭を振りながら格闘した。

終わったものを印刷して先輩に見てもらい、了解が出ると印鑑を推して業者さんにファックス。
午前中を費やしなんとか間に合った。