春の訪れを告げるように桜の蕾が膨らんであとなん日かすれば咲くのだろう。


そんな桜を横目に私、柏木 美月は学校の屋上で空を見上げていた。



「この桜も見ることはないだろうな。」


誰も居ないこの場所ではこの独り言も空に消えるだけだった。


"消えてしまいたい"


こんなことを考えるのは最近では日々日常のことである。


17年間の記憶をたどっても楽しかった記憶がひとつもない。


幼い頃父と母が離婚をし、私は体の弱い母に引き取られた。